瀋陽市南市場の中心地に位置する八卦街(はっかけい)は、1918年に建設が始まり、総面積は7.7ヘクタールに及ぶ。
南市場の建設には、古代中国の兵法思想が取り入れられており、華興場(雲集広場)を中心に、古代中国の八卦——乾(けん)、坎(かん)、艮(ごん)、震(しん)、巽(そん)、離(り)、坤(こん)、兌(だ)に基づいて街路名が付けられた。華興場(雲集広場)から四方に延びる4本の大通り(四象)は、それぞれ乾元路(けんげんろ)、艮永路(ごんえいろ)、巽従路(そんじゅうろ)、坤厚路(こんこうろ)と名付けられ、さらに四象から八卦(八方に延びる)が派生し、坎生路(かんせいろ)、震東路(しんとうろ)、離明路(りめいろ)、兌金路(だきんろ)の「八隅」が形成された。こうして、街全体が八卦の形を成すユニークな構造となった。この街の名称は、奉天派(ほうてんは)の将軍である湯玉麟(とうぎょくりん)と呉俊升(ごしゅんしょう)によって「八卦街」と命名された。2017年、瀋陽市和平区はこの街の百年にわたる歴史と文化を掘り起こし、再整備を行った。
街中には、1920年代の市井の風情を反映した様々な彫刻が点在し、歴史ある店舗や建築物も数多く残されている。こうした要素が織りなす独特の文化的雰囲気により、八卦街は訪れる人々にとって魅力的な観光スポットとなっている。