岫岩玉(しゅうがんぎょく)、阜新瑪瑙(ふしんめのう)、本溪遼硯(ほんけいりょうけん)、撫順琥珀(ふじゅんこはく)は「遼寧四宝文化」と呼ばれ、遼寧省ならでは宝物である。濃厚な郷土色、悠久の歴史と文化的背景を有している。
岫岩玉
鞍山市岫岩満族自治県に産することから名付けられた岫岩玉は、中国の玉文化史において、最も早くに開発され、歴史を持つ玉種である。その質は細やかで温かみがあり、油あるいは蝋状の光沢を帯び、中国「四大名玉」の一つに数えられる。
国家地理標識産品に指定された岫岩玉の推定埋蔵量は約300万トンで、中国玉石埋蔵量の首位を占める。生産制限が実施された後も年間生産量は中国玉石総生産量の60%を維持している。
本溪遼硯
遼硯は中国遼寧省本溪市にのみ産する。当地特有の地質構造が数億年かけて形成した紫雲石(赤褐色)と青雲石(青緑色)という二種の奇石を原料とする。「墨を滑らせても流れ出ず、筆を研ぐ際に抵抗があっても傷付けず、墨を養う効果は硯中随一」との評判を有し、遼硯の創作と彫刻に極めて貴重な天然資源を提供している。
2006年、遼硯(石彫)は省級無形文化遺産保護プロジェクトに登録された。本溪地区は天然遼硯石材の主産地であり、現在確認されている硯石の埋蔵量は、10億立方メートルに達している。
阜新瑪瑙
阜新瑪瑙は透明度の高さ、鮮やかな発色、緻密な質感、独特の加工技術で知られる。清乾隆年間には宮中で使用される瑪瑙器の多くが阜新産であったと伝わる。近年の出土品からは、遼代墓葬から精巧な作りの酒杯、囲碁石、首飾り等が発掘されている。
遼寧省阜新市は中国最大の瑪瑙産地で、全国埋蔵量の過半を占める。2006年、阜新瑪瑙彫刻は国家第一陣無形文化遺産リストに登録された。
撫順琥珀
撫順琥珀は第三紀始新世早期(約5000万年前)に形成されたもので、バルト海産琥珀より3000万年以上古いとされている。撫順西露天炭鉱特有の鉱物資源であり、品種が豊富で質が堅牢、色彩鮮やかな特徴を持ち、主に彫刻工芸品と装飾品の製作に用いられる。
撫順は世界有数の琥珀重要産地であると同時に、中国で唯一昆虫含有琥珀が産出される地でもある。撫順琥珀は遼寧省撫順市の特産品であり、国家地理標識産品に指定されている。